2月20日、国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センター准教授の船守美穂氏をお招きし、「21世紀高等教育に求められる研究スタイル~社会との知の循環・共創を生むOA/OSの推進~」と題した特別講演会を開催しました。講演は彦根キャンパスの講義室で対面・オンラインのハイブリッド方式で行われ、本学および他大学の関係者らが参加しました。
この講演会は、研究成果を広く一般社会へ公開することで、分野を超えた新たな知見の創出や研究成果の幅広い活用、イノベーションの創出を図ろうとするオープンサイエンス時代の、教育・研究・社会の進化を探ることを目的とし、各分野の第一線で活躍する専門家が、最新の知見と実践例を交えながら、学術情報をインターネットを介して無料でだれもが自由に利用できるようにするオープンアクセスの加速化の重要性について語るシリーズの第2回目として行われました。
講演は、高等教育政策や学術情報流通政策、オープンサイエンスなどが専門の船守氏から、オープンアクセスとオープンサイエンスを取り巻く動向について、その経緯や各国・地域の政策、各大学の取り組みなどが紹介されました。また、オープンサイエンスはただ研究成果をオープンにするだけでなく、多様な人たちが協働してイノベーションを生み出す、データ集中時代の新たな研究形態に向かって取り組むべきであると述べられました。そして、社会で得た知見を大学教育と研究に反映させ、それを再び社会に還元する高等教育・学術の新たなパラダイムを提言されました。さらに、データサイエンスを通じて企業や行政との連携による教育・研究を実現し、実社会での価値創造を行っている本学の取り組みについて評価され、アドバイスもありました。
参加者からは、「これからの研究は協働が重要であるが、リサーチエンジニアやURAなどと研究者との間にはまだ境目が存在する。本当に協働するためには人事政策や評価制度など大学の組織のあり方をどうすればいいか」「研究者はオープン化以外に安全保障についても求められているが、国家間競争の流れの中で、EUやアメリカなどではオープンアクセスと安全保障の政策についてどのようにバランスを取っているのか」などの質問が寄せられました。講演会の最後には本学におけるオープンアクセス加速化のための取り組みについて各担当課から紹介がありました。
また、船守氏は自身の研究面との関連から、講演会の前後の時間を利用し、本学データサイエンス・AIイノベーション研究推進センターの担当教員や合同会社 mitei(大学発ベンチャー)代表の井本望夢氏とも、実社会と緊密な連携となる教育研究活動を展開する際の課題や苦労、未来に向けてのビジョンなどについて、それぞれインタビューを行っていました。
今後もこのような講演会を通じて、最新の知見や考え方を共有し、教育・研究・社会の進化に貢献していきたいと考えています。

会場の様子

講演する船守美穂氏

参加者からも熱心に質問がありました
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