おうみ学術出版会について

おうみは、湖上、山野、いずこから眺めても、天と地と人の調和という、人類永遠の課題を意識させてやまない。おうみならではの学術の成果を、この地の大学と出版社の連携によって世におくり続けようと、平成27年(2015)暮れ、「おうみ学術出版会」が発足した。滋賀大学、滋賀県立大学、サンライズ出版株式会社が合意し、企画、編集から広報にいたるまで、ほとんどの過程で三者が緊密に協働する方式をとる。しかも、連携の輪が他の大学や博物館にも広がりゆくことを期している。

当会が考える学術出版とは、次なる学術の発展をも支えうる書物の出版である。そのためには何よりもまず、多くの人が読める文体の書をめざしたい。もちろん、内容の水準を保ちつつ読みやすさを工夫するのは容易ではない。しかし、その条件が満たされてこそ、垣根を越えた対話が深まり、創造が生まれ、学術の積み重ねが可能となる。専門分野に閉じこもりがちな従来の学術出版とは異なり、あらたな領域を拓く若い才能も支援したい。

当会の象徴として、この地と大陸のあいだの古くからの往来に想いを馳せ、おうみの漢字表記「淡海」の頭字を選んだ。字体は、約三千年前の青銅器銘文の中から、古体をとどめる「水」「炎」の二字を集字したものである。水は琵琶湖を、横の二つの火はおうみの多彩な歴史と文化を表すと、我田引水の解釈をつけた。ちなみに、「淡」の字に付けられた古注は「無味」である。「心を無味に遊ばせよ」と荘子がうながすように、そこに何かを見いだせるのが人間の精神であろう。

 

 

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