事業仕分け・行政経営改革支援
事業仕分け
取組みの経緯
石井が主宰している公共経営イブニングスクールで平成18年度に事業仕分けの可能性、あり方を年間研究テーマに取り上げたことから活動を開始した。滋賀県内自治体首長に共同研究を呼びかけたところ、さっそく栗東市、安土町、甲賀市から申し出があり、構想日本の助言も受けながら事業仕分けを実施した。その後、関係者で滋賀大学事業仕分け研究会を設立し、主に滋賀県を中心とする自治体の事業仕分けに協力している。
事業仕分けの意義
事務事業評価などによって、行政内部で事業を見直ししようにもさまざまなしがらみがあり、なかなか抜本的な見直しにつながっていない。事業仕分けは、個々の事業が内包するさまざまな問題点を外部の視点から指摘し、改革の代替案を提示する。事業仕分けを行うことにより、新しい自治体経営を志向する意識が生まれることとなる。
首長は仕分け後リーダーシップを発揮しやすくなる。全庁を巻き込む事業仕分けは首長のリーダーシップがないとできないからだ。事業の選定、事業の見直しにも関与することができる。ここで前例踏襲的体質が崩れる。行革担当は、事業仕分けの実施にあたって事務局機能を果たすが、事業の選定、事業仕分け後の調整に大きな役割を与えられることになり、本来の改革のエンジン機能を付与される。
担当部局にも大きな変化が生ずる。対象事業の選定過程や事業シートの作成、本番における公開の場での説明、そして仕分け結果への対応についての議論まで、自ら関わることになる。今まで問題意識を持っていてもなかなか提起できず、手付かずだった事業の見直しが可能となることもインセンティブになるはずだ。そもそも論で考えるべきだという仕分け人の指摘に応えて大胆なスクラップ・アンド・ビルドの議論が始まる。特に、事業仕分けではすべてを公開する。閉鎖体質の役所では、初めは生のやりとりを公開することに恐怖感を持つことが多いが、公開の場でのやりとりを経験すれば、同じような公開の場で、市民や議員にいろいろな議論をしてもらうほうが効果的であると認識する。
市民も変化する。特に仕分け人として参加した市民の変化は顕著である。最初はこんな事業があったのかという驚きから始まるが、やがて納税者として外部仕分け人の指摘を聞きながら、税金の使い方として適切なのか、主権者としての権利行使や義務の履行は従来のままでよいのかという問題意識を高める。傍聴者として来ている市民も同様だ。予算の使われ方、使い方を市民がともに検証し、議論するというのは自治の原点である。
議員にもプラスの影響を及ぼす。事業仕分け導入時は、議会への干渉ではないかという反対意見もあるが、実際に事業仕分けを実施すると、事業の問題点が明らかになったと評価する意見が多い。議会自ら事業仕分けに取り組む動きも増えつつある。
体制
滋賀大学では、事業仕分け活動を推進するために、石井を代表世話人とする「滋賀大学行政経営研究会」を設置している。
約30名程度のメンバーが各地の仕分け活動でコーディネーターや仕分け人を務めている。
これまでの実績
平成28年度までに、のべ48回の事業仕分け(公開事業診断、公開事業評価等を含む)を行っている。
滋賀大学による事業仕分けの実績
年度 | 市町村 | 人口(千人) | 実施日 | 班数 | 事業数 | 委員構成 |
---|---|---|---|---|---|---|
18年度 (3) |
滋賀県栗東市 | 63 | 9月23、30日 | 2 | 57 | 市民 |
滋賀県安土町 | 12 | 10月14日 | 4 | 45 | 混成 | |
滋賀県甲賀市 | 96 | 11月25日 | 4 | 55 | 混成 | |
19年度 (5) |
滋賀県栗東市 | 63 | 9月22日 | 4 | 50 | 市民 |
滋賀県長浜市 | 83 | 9月29、30日 | 4 | 101 | 混成 | |
三重県亀山市 | 49 | 10月20、27日 | 4 | 83 | 混成 | |
滋賀県守山市 | 74 | 11月17、18日 | 3 | 60 | 市民 | |
滋賀県湖南市 | 55 | 12月15日 | 4 | 52 | 混成 | |
20年度 (6) |
兵庫県加西市* | 48 | 8月9日 | 3 | 30 | 混成 |
滋賀県大津市 | 330 | 8月23日 | 2 | 20 | 混成 | |
滋賀県守山市 | 74 | 8月24、30日 | 3 | 30 | 市民 | |
滋賀県湖南市 | 55 | 8月31日 | 4 | 31 | 混成 | |
滋賀県長浜市 | 83 | 9月23日 | 3 | 30 | 混成 | |
三重県亀山市 | 49 | 10月25日 | 4 | 36 | 混成 | |
21年度 (3) |
京都府長岡京市 | 80 | 8月1日 | 2 | 20 | 混成 |
兵庫県加西市* | 48 | 8月8日 | 1 | 6 | 混成 | |
滋賀県大津市* | 330 | 8月22日 | 3 | 24 | 混成 | |
22年度 (7) |
京都府長岡京市 | 80 | 8月7日 | 2 | 20 | 混成 |
滋賀県大津市* | 330 | 8月21日 | 3 | 23 | 混成 | |
滋賀県長浜市 | 123 | 8月28日 | 2 | 21 | 混成 | |
滋賀県米原市 | 40 | 9月4日 | 3 | 25 | 混成 | |
三重県亀山市 | 49 | 10月3日 | 4 | 32 | 混成 | |
埼玉県ふじみ野市** | 105 | 10月16、17日 | 2 | 36 | 混成・市民判定人 | |
滋賀県近江八幡市 | 81 | 10月23、24日 | 2 | 36 | 混成 | |
23年度 (5) |
愛知県西尾市 | 165 | 7月23、24日 | 1 | 20 | 混成・市民判定人 |
滋賀県米原市 | 40 | 8月21日 | 2 | 20 | 混成 | |
三重県亀山市 | 49 | 8月28日 | 4 | 20 | 混成 | |
滋賀県近江八幡市 | 81 | 10月1日 | 2 | 14 | 混成 | |
京都府舞鶴市 | 90 | 11月3日 | 1 | 9 | 混成・市民判定人 | |
24年度 (6) |
愛知県幸田町 | 38 | 7月21、22日 | 1 | 14 | 混成・市民仕分け人 |
愛知県西尾市 | 165 | 8月4、5日 | 1 | 16 | 混成・市民判定人 | |
京都府舞鶴市 | 90 | 8月18、19日 | 1 | 14 | 混成・市民判定人 | |
滋賀県近江八幡市 | 81 | 9月22日 | 2 | 6 | 混成・市民仕分け人 | |
愛知県豊明市 | 68 | 9月29、30日 | 2 | 20 | 混成・市民判定人 | |
京都府福知山市 | 79 | 平成25年2月3日 | 1 | 7 | 混成・市民判定人 | |
25年度 (4) |
愛知県豊明市 |
68 | 7月13、14日 | 1 | 14 | 混成・市民判定人 |
京都府福知山市 | 79 | 8月3、4日 | 1 | 7 | 混成・市民判定人 | |
愛知県西尾市 | 165 | 8月11日 | 1 | 5 | 市民 | |
愛知県東浦町 |
50 | 10月12、13日 | 1 | 10 | 混成・市民判定人 | |
26年度 (4) |
愛知県西尾市 |
165 | 8月3日 | 1 | 5 | 市民 |
滋賀県甲賀市 |
91 | 9月14日 | 3 | 10 | 混成・市民判定人 | |
京都府福知山市 | 79 | 11月16日 | 1 | 4 | 市民 | |
三重県亀山市 |
50 | 11月23日 | 4 | 20 | 職員 | |
27年度 (3) |
三重県亀山市 |
50 | 5月17日 | 1 | 3 | 職員 |
愛知県安城市 |
186 | 7月25日 | 1 | 7 | 市民 | |
三重県亀山市 |
50 | 8月29日 | 4 | 2 | 外部 | |
28年度 (2) |
愛知県江南市 |
100 | 8月20日 | 1 | 5 | 市民 |
愛知県安城市 |
186 | 11月5日 | 1 | 5 | 市民 | |
29年度 (2) |
愛知県江南市 |
100 | 8月26日 | 1 | 5 | 市民 |
愛知県安城市 |
187 | 11月12日 | 1 | 3 | 市民 | |
30年度 (2) |
愛知県江南市 |
100 | 8月25日 | 1 | 4 | 市民 |
愛知県安城市 |
189 | 10月6日 | 1 | 3 | 市民 |
*構想日本と共同、**地方自治体公民連携財団と共同
滋賀大学行政経営改革支援チームによる行政経営改革支援
昨今の地方自治体を取りまく厳しい財政状況や職員定数の減少の中で、地方自治体においては、改めて、一層の行財政改革の推進や民間活力導入の必要性に迫られています。
しかしながら、地方自治体の現場では、何から手をつけていいのか分からない、専門家に相談するには躊躇するといった声も多く聞かれます。そこで滋賀大学社会連携研究センターでは、行政経営改革支援チーム(滋賀大学教員+必要に応じて弁護士、公認会計士、社労士等)を編成し、行革大綱の策定→業務の棚卸し→事業仕分け→政策評価→定期的なモニタリングまで、一貫した行政経営改革に関するサポートとコーディネート、初期診断等を行っています。
滋賀大学のキャンパス内(社会連携研究センター本部や大津サテライト)においてのご相談対応はもとより、現地での対応も可です。どうぞ、行政経営恵改革に関することならどんなことでも結構ですのでお気軽にご相談ください。
滋賀大学社会連携センター 教授 横山 幸司