父は仏教美術史の研究者で京都市立芸大学長を務めた佐和隆研。数十巻の大蔵経を背に論文を執筆するその姿を見て育ち、物心ついた頃から、学者以外の職業に就くことを考えなかった。少年時代は物理学者や数学者に憧れたが、高校のときマルクス・エンゲルスの著作を読みかじる。生涯をかけるに相応しい学問だと思い、理科好きの母の反対を押し切って、経済学への道を歩んだ。
大学に入学したのが60年安保闘争の直後、池田勇人内閣の所得倍増計画が始まった時期だったため、マルクス経済学は色あせて見えた。だからと言って、効用最大化、利潤最大化などといった「玩具の鉄砲」まがいの新古典派経済学にはどうにも馴染めず、計量経済学を専門に選んだ。得意だった数学が役立ち、若くして名を成すことに。その後、エネルギー・環境経済学へと軸足を移すに当たっても、その昔、大好きで勉強した物理・化学の知識が大いに役立った。
生年 | 1942年11月13日 |
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学位 | 東京大学経済学博士(1971) |
専門分野 | 計量経済学/エネルギー・環境経済学 |
学歴 | 東京大学経済学部経済学科卒業 東京大学大学院経済学研究科修士課程修了 |
職歴 | 1967/7 東京大学経済学部助手 1969/7 京都大学経済研究所助教授 1980/4 京都大学経済研究所教授 1990/4 京都大学経済研究所所長(1994/3まで) 1995/4 京都大学経済研究所所長(1999/3まで) 1997/4 京都大学大学院エネルギー科学研究科教授 1999/10 京都大学経済研究所教授 2000/4 国立情報学研究所副所長(2002/3まで) 2001/4 京都大学経済研究所所長(2006/3まで) 2006/4 立命館大学政策科学研究科教授 及び 京都大学経済研究所特任教授 2010/4 滋賀大学学長 |
褒賞 | 1970年度 経済図書出版文化賞(日本経済新聞社):『計量経済分析の基礎』(東洋経済新報社) 1987年度 テレコム社会科学賞:『文化としての技術』(岩波書店) 1996年度 「エネルギーフォーラム賞」普及啓発賞:『地球文明の条件』(編著 岩波書店) 1998年度 エネルギーフォーラム賞:『地球温暖化を防ぐ』(岩波書店) 1998年度 和歌山県文化賞 2004年度 日本エネルギー学会論文賞 2007年度 紫綬褒章 2009年度 環境経済・政策学会特別賞 2012年度 交通文化賞 |