陽の光が琵琶湖の水面にさんさんと輝き、木々の緑が燃え立つようなこの良き日に、文部科学省高等教育局長、滋賀県副知事をお迎えし、地元選出国会議員の先生方、海外連携大学の代表の方々はじめこのように多くの方々のご臨席を仰いで、滋賀大学創立70周年及び大学院データサイエンス研究科設置記念式典を催すことができるのは、私どもにとってこの上なく大きな喜びであり、光栄に存じます。壇上に控えております竹村彰通データサイエンス研究科長・学部長、杉江淑子教育学部長、田中英明経済学部長と共に、みなさまに厚く御礼を申し上げます。滋賀大学がここまで発展することができたのは、本学およびデータサイエンス学部と多様な形で連携しサポートいただいている政府・自治体、教育、経済・産業、科学技術など様々な分野の方々のおかげであり、こころより感謝申し上げます。また、これまでこの滋賀大学を支えてきていただいた元教職員、滋賀師範学校や彦根高等商業学校時代から連綿と続く同窓会、並びに父兄・保護者の方々にもこの場を借りて敬意を表します。こうしたあらゆるステークホルダーがあってこその滋賀大学であります。

 さて、滋賀大学はまさに昨日、令和元年5月31日、創立70周年を迎えました。ここで本学の70年間を振り返ることはいたしません。滋賀師範学校と彦根高等商業学校を母体とした新制国立大学滋賀大学は、これまでその名に恥じない大きな成果を上げ、一方で優秀な教員の養成により次世代を担う子どもたちの育成に貢献し、他方で近江商人の伝統を引き継いで、我が国の経済発展を担う有為の経済人を輩出してきました。2004年には国立大学が法人化され、本学も他の国立大学法人と同じく、財政的にも極めて厳しい現実の下で、「滋賀大学2.0」とも呼ぶべき模索の時代、荒海の中を泳いできました。

 しかし、2016年度からの第3中期に入り、わが国初めてのデータサイエンス学部が2017年4月に実現しました。これをきっかけに「滋賀大学3.0」と呼ぶべき新しい時代が始まったのです。滋賀大学3.0は、私が2017年6月に発表した「滋賀大学イノベーション構想:キラキラ輝く滋賀大学へ」の中で示した5つの柱、すなわち「文理融合型大学」、「グローバル化」、「研究する大学」、「社会の中の大学」そして「行動力・機動力のある大学」にもとづいて、未来に向かって疾走中であります。幸い2017年度の業務実績評価では、本学は、「特筆すべき」進捗状況、という極めて高い評価を受けました。また、イノベーションの財政的支えとなる学長裁量経費についても、模範的事例として全国に紹介されました。

 この2019年度からは、「滋賀大学3.0:キラキラ輝く滋賀大学」の第2フェーズに入ります。大学院の整備がその大きな特徴です。まずデータサイエンス研究科修士課程が本年4月に学生定員20名で誕生しました。これは、企業等のニーズが極めて高いため、4年の学部完成より2年前倒しの設置です。しかもさらに来年4月には博士後期課程も設けるべく準備中です。わが国は世界の中でデータサイエンス分野で大きく遅れをとってきましたが、これにより滋賀大学は日本で初めて学部から博士まで一貫したデータサイエンティスト育成が可能になり、日本のデータサイエンスの拠点としての滋賀大学が完成します。その意味で、本日は、滋賀大学の70周年と同時に、新しい出発であるデータサイエンス研究科の設置をも記念する式典といたしました。

 しかし本学の発展は、ひとりデータサイエンス学部、研究科のみによるものではありません。イノベーションは教育学部・研究科にも、また経済学部・研究科にも起こっています。まず、データサイエンス学部の創設をきっかけに、文理融合型大学に向けて、全学共通科目「データサイエンスへの招待」を開設し、経済学部・研究科にはデータサイエンス副専攻を設け、教育学部・研究科・教職大学院でもデータサイエンスのカリキュラム化が始まろうとしています。附属学校にもプログラミングをはじめ、データサイエンスを子供たちに親しませる試みが始まっています。教育学研究科高度教育実践専攻(教職大学院)もその一端です。

 第2に本学のグローバル化も進展してきました。国際センターを改組拡充して国際交流機構を設けました。従来の海外22大学との連携に加えて、英国、フランス、チュニジアにも協定校を拡大しつつあり、中期目標の連携30大学を本年度中にもクリアします。また経済学部の英語による専門科目の授業やスマホでも使える自習英語教育プログラムの無償提供、同窓会の支援も含めた長期留学助成、教員の海外共同研究など、充実を見ています。

 第3に大学は社会との関係なしにはもはや成り立ちません。今年度から産学公連携機構を設置し、データサイエンスを軸とした企業・自治体との45件にも上る連携、100件に達する共同研究など、目覚ましい量的質的拡大に加えて、地域創生に向けての、観光、健康、文化、地場産業他、多様な分野での貢献を実現しています。また国連SDGsへの参画を申請し、“Leave no one behind.”だれ一人取り残さない社会の実現のために行動を開始しました。昨日来完全実施を始めた「学内全面禁煙」によって、大学の健康環境の維持にも配慮します。

 第4に言わずもがなですが、大学の基盤は研究です。良質な研究のないところに良質な教育や人材育成はあり得ません。運営費交付金が漸減する中、新設の研究推進機構により様々な研究助成金やサバティカル制度の充実を図り、研究の拡大・充実のチャンスを提供しようと、研究環境の改善が進んでいます。

 そして、第5の柱、大学は機動力や行動力がなければ激動の時代に活躍できません。今申し上げてきた研究推進、国際交流、産学公連携に、教育・学生支援及び情報の各機構を加えて5つの全学機構が、大学のあらゆる事業をカバーして、効率的・効果的、革新的にこの大学を前進させていきます。それを有能な事務職員たちが縁の下の力持ちで支えます。

 滋賀大学は、Society5.0、第4次産業革命、多様性、さらには少子高齢化など、様々な表現で示されるこれからの社会の中で、さらにきらきら輝き、この大学を卒業していく人たちが地域を、日本をそして世界をリードして行くための新しい出発点が、この70周年なのです。

 最後に滋賀大学の英語名Shiga University SHIGA Uを用いた滋賀大学スピリットをご紹介して、式辞を収めたいと思います。SはSincere、誠実さ。HはHumanistic、人間性です。IはIntelligent、叡智、GはGenerous、寛容、AはActive、積極性です。そして、UniversityのUは、団結Unionと、世界Universeを示します。みんなで団結して困難に立ち向かい、素晴らしい世界を作り上げることです。これが滋賀大学スピリットです。

 本日は誠にありがとうございます。

 

令和元年6月1日

国立大学法人滋賀大学長 位田 隆一

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