このたび新しく学長に就任しました。私は4年間の任期において、「きらきら輝く滋賀大学」に向けて、大学の教育・研究、そして社会との連携を推し進めていく所存です。
 今や国立大学は、大学改革、社会への貢献、人文社会系の再編成、財政削減など、様々な批判と要請に直面し、激動の時代に入っています。多くは的外れで、大学とは何か、学問とは何か、人文社会科学の意義などが、社会に十分に理解されているとは思えません。しかし、これまで大学は、あまりにも社会との関係をおざなりにしてきており、とくに目に見える生産活動とは距離を置く人文・社会系や教員養成系は、研究成果が必ずしも社会の抱える課題と結びついてはいませんでした。こうした大学の姿勢が、いま問われているのです。
 滋賀大学は、今年度から第3期中期計画期間に入り、新しい時代を迎えます。滋賀大学が、この激動の時代を乗り越えて、これまで築き上げた知的資産を基礎として、新しく「きらきら輝く滋賀大学」となるために、次の3つを柱とします。

1)現代社会の課題とその解決に貢献する大学であること
 大学が社会の中の知的創造の場である以上、常に社会の抱える様々な課題を意識しつつ研究します。すべての研究が実用的であれ、といった薄っぺらい考えではなく、個々の研究が社会とのかかわりを常に意識し、社会の様々な事象や活動の理論的な基盤を明らかにしていく作業だということです。その中でも、分野横断的に「課題解決型・提言型」の研究を進めることは重要です。社会の中に大学のこのような知的貢献があってこそ、そこで学ぶ学生諸君の知的好奇心を掻き立て、地域に貢献する人材、世界に飛び出す人材に成長するのです。

2)人社系と理系の「文理融合」による逆Π(パイ)型教育研究とΓ(ガンマ)型人材育成
 2017年度から本学は全国で初めてのデータサイエンス学部を新設します。これは理系学部ですが、現代社会はもはや理系と文系が分かれていては進歩・発展しません。現実の社会は、自らの専門分野を縦軸に、相互に理解しあい全体を俯瞰する力を横軸に、文系と理系が常にそれぞれの強みを生かしつつ融合していっています。これからの滋賀大学は、経済と教育をそれぞれ縦軸に、データサイエンスを横軸にして、教育・研究を進めます。これを逆Π(パイ)型といいます。教育の学生も経済の学生もデータの理解と取扱いを会得し、データサイエンスの学生は、教育や経済を中心にその他の様々な領域の基礎的知識を習得することで、どの分野にでも応用のきく人材に育っていきます。これをΓ(ガンマ)型人材育成と考えています。

3)地域に根ざし世界に飛び出すグローバルな視野と活動
 いまやあらゆる人間活動がグローバルに結びついています。国内やまた地元滋賀においても、世界を相手に活躍している企業や団体、個人があり、学生たちもグローバルな活躍を目指しています。教育学部が育てる「教師」は、児童や生徒が世界で活躍する夢を描くことの後押しをします。経済は、地域・国・世界の境界なくグローバルな経済が日常生活と密接に結びついています。そしてデータは国境を越え世界中を飛び回っています。いまや、滋賀大学が地域に根ざ
しつつ培ってきた能力と活力を、これまで以上に世界に向かって伸ばしていく時です。

 この4月に入学される新入生諸君は、この滋賀大学の発展に自ら貢献し、自ら新しい道を切り開いていく主役であり、「きらきら輝く」滋賀大学の新しい歴史の証人ともなるのです。若い力と意欲の学生諸君と、伝統と経験に裏打ちされた力を持つ教職員とが、しっかりタグを組んで、新しい時代に乗り出しましょう。