2012年12月に安倍政権が発足して以来、長期低迷下にある日本経済の成長力を取り戻すことが最優先の政策課題に掲げられ、日本経済再生本部の下に産業競争力会議が設置されました。産業競争力会議は、議長を務める安倍首相他閣僚8名、民間企業の幹部7名、学者2名(1名は工学部教授、1名は元政治家の大学教授)から構成されています。産業競争力と経済成長力を取り戻すには、技術革新(イノベーション)の創出が不可欠であり、その担い手を養成する国立大学法人を抜本的に改革することを、産業競争力会議は強く求めています。

 こうした要請に応じて文部科学省は、本年6月8日、全国に86ある国立大学法人に対し、既存の学部などを見直すよう通知いたしました。それによると「特に教員養成系や人文社会系学部・大学院は、組織の廃止や社会的要請の高い分野に転換する」ことを求めています。教育学部と経済学部という2学部から成る本学にとって、くだんの通知は、存亡に関わる大いなる難問を突きつけられたに等しいのです。仮に、なにもせず手を拱いておれば、国から交付される運営費交付金は、人件費を賄うのに精一杯の額まで削減され、本学は生活保護世帯並みの貧乏大学に成り果てかねません。

 私ども本学執行部にとって、文部科学省が、産業競争力会議の指示に従い、人文社会系学部の廃止・縮小に乗り出すであろうことは、想定内のことでした。そこで、昨年の夏休み前ごろから、学内資源(教育学部学生定員240名と経済学部学生定員500名と両学部の教員)を再配分する方途を見出すべく、着々と準備を進めて参りました。両学部から供出される資源を活用して新学部を創設することについて学内の合意形成に至るまでに、それほどの手間暇は要しませんでした。本学の教職員のだれしもが、生活保護世帯並みの貧乏大学になりたくないという想いを共有していたせいでしょう。

 さてそれでは、どんな新学部をという段になると、諸説紛々の有り様でした。新学部を構想するに当たっての理念を「未来志向」と「文理融合」の二点に絞り込んだ上で、思案投げ首の末、辿り着いたのがデータサイエンス学部の創設だったのです。目下のところ、2017年度開設を目指しての準備に追われていますが、ビッグデータから価値創造のできるデータサイエンティストの養成は、日本の産業競争力強化のために欠かせぬ大学改革の一つではありませんか。データサイエンスまたは統計学を教育する学部は、目下のところ、国内に一つもありません。そんな中、滋賀大学データサイエンス学部はオンリーワンとしての船出を間近に控えています。どうぞご期待くださいませ。