少子化のせいで、わが国の18歳人口は、1966(昭和41)年度の249万人から2015(平成27)年度の119万人(推定)へと、半減以下にまで激減した。4年制大学への進学率は1966年度に10%だったのだが、昨今のそれは50%前後で推移している。大学進学率が5倍増になったにもかかわらず、志願倍率(志願者数/入学定員)は1966年度の2.63倍から2013年度の1.16倍へと大幅に低下している。

 おそらくは文部科学省の思惑に反して、日本の大学進学率は、今後とも50%前後で推移しそうだ。2031年には、18歳人口は100万人割れとなりそうだから、大学入学定員が現状のままだと、志願倍率は0.86倍まで落ち込むものと予想される。志願倍率の低下により、多くの私立大学は定員割れとなり、経営に支障をきたすことになりそうだ。

 今現在、すでに大学全入(選り好みさえしなければ、志願者全員がいずれかの大学に入学可能な)時代を迎えていると見る向きが多い。定員割れを回避するために、私立大学の場合、推薦入学やアドミッション・オフィス(AO)入試の門戸を広げ、早めに入学生の半数近くを確保する傾向が、近時、とりわけ顕著となった。文部科学省、そして中央教育審議会(中教審)は、大学入試の現状が「知識偏重」であること、言い換えれば、思考力、表現力、判断力などの能力を度外視していることを問題視する。こうした点に鑑み、昨年12月22日、中教審は大筋以下のような「大学入試改革案」を文部科学大臣に答申した。

 第1に、大学入試センター試験を廃止し、知識の活用力や思考力を試す「大学入学希望者学力評価テスト」を2020年度から導入する。第2に、学力評価テストは、年に複数回実施され、教科の枠組みを超えた合科目型問題をも出題する。第3に、英語は外部試験(TOEFLやTOEIC)の活用を検討する。第4に、各大学が実施する2次試験では小論文、面接、集団討論などを主とする。

 受験生の「知識の活用力や思考力」を記述式ペーパー試験で試そうとするのは「言うは容易く行うは難し」である。評価テストの結果は1点刻みの点数ではなく、何段階かの評価に留めるとのことだ。仮に5段階(1〜5)評価だとすれば、おそらく各大学は評価テストの成績が「5以上」だとか「4以上」を受験資格とし、小論文・面接・集団討論による受験生の「知識の活用力や思考力」に基づき合格者を選抜することになろうが、公正な(採点者の主観の入らない)選抜はおよそ不可能に近いと言わざるを得ない。

 今後数年間のうちに、各大学に対し、新しいアドミッション・ポリシーを打ち出すことが求められる。本学においても、入学者選抜に関するワーキングを設け、思考力、表現力、判断力に秀でた学生を、極力公正に選抜できるよう、入試制度の抜本的な改革を目指している。