日本の大学進学率は、いかほどだと思ってらっしゃるでしょうか。1960年度は8.2%、1975年度から1990年度にかけての15年間は25%前後で横這い、91年度の25.5%から2011年度の51.0%まで20年間は順調な伸びを続けたのですが、その後は低落傾向を示すようになり、2013年度には49.9%となりました。先進諸国と比べて、日本の大学進学率は高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。

 OECD(経済協力開発機構)加盟34カ国の大学進学率の平均値は62%、オーストラリア、アイスランド、ポルトガルは90%以上、北欧3国、アメリカ、韓国、オランダ、デンマークなどが60%台後半から70%台後半に分布しています。イギリスは63%でほぼ平均値に等しく、イタリア、フランス、ドイツなどは40%台で日本よりも低いのですが、これら諸国では、中等教育終了後に「手に職を付ける」ために職能学校に進学する生徒が多いからです。少なくとも一昔前までは、欧州の大学では、インテレクチュアル(知者)養成が第一義とされ、「手に職を付ける」ことは二の次に回されていたからなのです。

 日本の大学進学率が50%前後で頭打ちになっているのは、私立大学はもとより国公立大学に進学しても、欧州諸国に比べて相対的に学費が高いことです。学費には入学金、授業料のほか、下宿代、食費、交通費などが含まれます。日本以外のOECD諸国の大学には学寮が完備されており、生活費はとても安くつきます。

 欧州では、ほとんどの大学が国立大学であるため、学費はきわめて安く、親の貧富の格差が子供の教育格差を生む度合いは少ないと言えます。北欧3国では、幼稚園から大学院に至るまで学費(寮費をも含む)は無料です。欧州諸国では、学校教育費用の大部分を政府が負担する(税金で賄う)のが当たり前とされているのです。他方、アメリカの私立大学の授業料はとても高く、全米平均で年間251万円(1ドル=100円で計算、以下同様)、寮費、教科書代などを含めると374万円かかります。州立大学の場合、親または自分が州税を払っている学生が優遇され、授業料は全米平均で年間66万円、その他の経費を含めると183万円と、日本の国立大学並みです。

 学校教育費用の国庫負担(対国内総生産比)を国際比較すると、欧州諸国のそれが7%前後であるのに対し、日本のそれは3.6%に過ぎません。足らずは私費で負担しなければなりません。私費負担の大きいことが、日本の大学進学率が50%で頭打ちする理由の一つです。二つ目の理由は、私立大学の40%が定員割れしているという現状が示すとおり、受験生の全員を合格させる大学が少なくないのですが、そうした大学は学費が高い割に、内容の充実した授業が提供されておらず、卒業後の就職も覚束ないため、費用対効果という観点から、入学手続きしない入試合格者が多いことです。

 国立大学法人である滋賀大学も安閑とはしておられません。再来年度から始まる第3中期(2016~21年度)には、運営費交付金(国立大学法人が国からいただくお金)の配分に、各大学の「改革」とその成果を反映させるとのことです。今年度と来年度を改革加速期間として位置づけ、その間に、滋賀大学の改革の道筋をどう付けるのか、目下、私こと、思案投げ首の状態です。ともあれ、滋賀大学を魅力と活力に満ち溢れた大学にするべく全力を尽くす所存です。