【展示図書】マーシャル「冷静な頭脳と温かい心」ケンブリッジ大学 経済学教授就任講演(1885)
本館所蔵の「マーシャル「冷静な頭脳と温かい心」ケンブリッジ大学 経済学教授就任講演(1885)」に関する貴重書を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館1Fカウンター前に設けています。

展示コーナー

ピグー編『マーシャル追悼論文集』(1925)
本図書館所蔵の経済学の古典(12)
マーシャル「冷静な頭脳と温かい心」ケンブリッジ大学 経済学教授就任講演(1885)
マーシャル(Alfredo Marshall, 1842-1924)は、限界・均衡分析による価格分析などにより現代経済学の基礎を築いた経済学者であり、ケンブリッジ学派の創設者として知られる。
主著『経済学原理』(初版1890年)は、1920年の第8版まで版を重ね、現在のミクロ経済学の出発点になった。経済学者マーシャルの功績が語られるとき、新古典派経済学の創設者として、理論経済学の業績のみが注目されることが多かったが、マーシャル自身は、経済学者の任務が貧困問題の克服と人間性の回復にあることを固く信じていたことを、忘れるべきではない。
1885年2月24日、マーシャルは、ケンブリッジ大学教授就任講演「経済学の現状(The present position of economics)」を行った。彼は、社会の苦しみに「冷静な頭脳をもって、しかし温かい心をもって (cool heads but warm hearts)」 取り組む人々を世に送り出すことが自分の願いであることを述べて、講演を締めくくった。
今回展示するのは、この講演録が収められた、ピグー編『マーシャル追悼論文集』(1925)、マーシャル著『産業経済学要綱』(1892)そして主著『経済学原理』第8版(1920)の復刻版(1922)である。
Elements of economics of industry: being the first volume of Elements of economics by Alfred Marshall, London: Macmillan, 1892.
Principles of economics: an introductory volume by Alfred Marshall 8th ed. London: Macmillan & Co., 1922.
Memorials of Alfred Marshall; edited by A. C. Pigou, London: Macmillan, 1925.
(解説:経済学部教授 御崎加代子)