本館所蔵の「マルクス『資本論』とローザンヌ学派」に関する貴重書を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館1Fカウンター前に設けています。

展示コーナー

『パレートによる「序文」付 カール・マルクス:資本論(ラファルグによる抜粋)』(初版 1893年)

本図書館所蔵の経済学の古典(10)

マルクス『資本論』とローザンヌ学派

 1867年にマルクスの『資本論』第1巻の初版がドイツ語で出版された。パリ=コミューン(1871)が鎮圧されたフランスでは、厳しい思想統制が敷かれたにもかかわらず、1872年から75年にかけて、フランス語版『資本論』が出版された。
 『資本論』は、様々な解説者によって、フランス語圏に普及した。ローザンヌ学派の経済学者パレートもそのうちのひとりである。1893年にP・ラファルグがパリで出版した『資本論』の抜粋にはパレートの長い「序文」が掲載されている。パレートは、マルクスの労働価値論に批判的で、それは代表作『経済学提要』(1906)にも引き継がれた。ローザンヌ学派の創設者レオン・ワルラスもちょうどその頃、マルクスに興味を抱くようになり、正義の問題を扱った『社会経済学研究』(1896)の中でマルクスをとりあげた。ワルラスもマルクスの価値論には批判的であったが、社会改革者としてのマルクスに共感も寄せている。現在の教科書的な解釈では、マルクス経済学と限界主義(あるいは新古典派)の理論や社会観は真っ向から対立するとされている。しかしながら実際はそう単純ではない。
 本図書館は、『パレートによる「序文」付 カール・マルクス:資本論(ラファルグによる抜粋)』(初版 1893年)、ワルラス『社会経済学研究』(初版 1896年)、マルクス『資本論』(仏語版マルクス全集 1924-26年)、パレート『経済学提要』(仏語版第2版 1927)を所蔵している。

Pareto, V. (1893) ≪ Introduction ≫, Karl Marx : Le Capital, Extraits faits par M.Paul Lafargue, Paris : Guillaumin&Cie.

Walras, L. (1896) Etudes d’economie sociale, Lausanne : F. Rouge, Paris : F. Pichon.

Marx. K. (1924-26) Le Capital, traduit par J. Molitor, ?uvres completes de Karl Marx, t.Ⅰ-Ⅷ, Paris : A. Costes.

Pareto, V. (1927) Manuel d’economie politique ; traduit sur l’edition italienne par Alfred Bonnet (revue par l’auteur), 2e ed, Paris : Marcel Giard.

(解説:経済学部教授 御崎加代子)