2008/11/23 滋賀大学研究フォーラムの模様

フォーラムの模様
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フォーラムの模様

アーカイブズの可能性を開く:地域、大学、行政

高橋 実(国文学研究資料館アーカイブズ研究系主幹)
阿部安成(滋賀大学経済学部教授)
井口和起(京都府立総合資料館館長)

 今回のフォーラムは、経済学部ワークショップとしてもおこなわれ、また、2008年11月17日から22日まで、本学彦根キャンパスで開催された国文学研究資料館主催「アーカイブズ・カレッジ(短期コース)」につながる講演会としても開催された(開催場所は大学サテライト・プラザ彦根)。報告は順に、高橋実(国文学研究資料館アーカイブズ研究系主幹)「地域アーカイブズの可能性:日本におけるアーカイブズの歩みから」、阿部安成「大学史と大学所蔵資料の連環:滋賀大学経済学部の動向から」、井口和起(京都府立総合資料館館長)「地域社会におけるアーカイブズ「行政」の課題」
(司会は国文学研究資料館の加藤聖文)。

 アーカイブズ(archives)は、その言葉のあらす意味は「記録史料」または「文書館」であり、まだ明確な訳語がわたしたちの社会には定着してはない英語ではある。その語源をたどると、組織の頭脳や心臓をあらわす語となり、まさに組織にとって肝心の機関を指すこととなる。いくつかの企業にみられる企業アーカイブズでは、その担当者は研修としてすべての部署をまわり、みずからが属する企業をよく知ってから業務に就くような仕組みをつくった事例もある。また、館の玄関に歴史の女神クリオの像をおく国立公文書館を設けるアメリカ合衆国や、200年の歴史をもつ文書館をもつ仏国の大統領だったミッテランが述べたところでは、アーカイブズがデモクラシーの砦としてとらえられたり、国家のみならず世界の財産として評価されたりしている。こうしたアーカイブズを、いわば民主主義の成熟のどあいを計る指標とする見方は、欧米のみならず、韓国においてもみられる。

 アーカイブズをたんに、職場の日々の業務をとおして排出される廃棄物の処理場ていどにしかみないのだとしたら、それは職場の全体を適切にみわたす機会を逃すこととなるし、また、うまいぐあいに仕事の全体をつかむ意思のないことをあらわすのだといってもよい。このアーカイブズをどのように地域に根づかせ、地域住民の活用の場とするのか、大学もふくめた地域のどのような機関が、このアーカイブズと連携してゆくのか、それがこのワークショップの主要な議論であり、3報告後のパネルディスカッションでは、京都や滋賀の詳細な事例や現状が示され、わたしたちの課題が議論された。本ワークショップは、2008年度内に報告書を公表する予定である。

(出席者17名。阿部安成)