「センター試験廃止へ:複数回の新テスト 高2から学力把握」と題する記事が、去る6月6日「日本経済新聞」朝刊のトップを飾った。今のセンター試験の前身である共通一次試験が始まったのは1979年のことである。5年後を目途に廃止されるセンター試験に代わり、全国統一試験「到達度テスト」を年2~3回実施し、高校2、3年生のうちに複数回受験した上で、自身の最高点を志望校に提出する。アメリカの進学適性検査(SAT)、フランスのバカロレア、中国の全国統一試験に倣ったものだ。難易度の異なる3種類程度の試験を用意する案も浮上しているとのことだ。

 これら3カ国では、大学別の学力テストは行われず、学力を対象とする統一試験の成績だけで合否を判定したりはしない。アメリカでは、高校の担任教師の推薦状、学業成績などでふるいをかけ、部活動歴、出身地域、性別、人種などのバランスに配慮して、合否の判定が下される。フランスでは、バカロレアに合格したもの全員が大学進学の有資格者となり、好きな大学の好きな学部に入学手続きできる。定員を超えた場合には、先着順、住所が大学の所在地に近い者を優先するなど、バカロレアの点数とは無関係な基準で入学者が選抜される。中国では、各省(日本の都道府県に当たる)・自治区・直轄都市別に入学定員が割り当てられている。

 統一試験の導入そのものは望ましいのだが、高校2年までに全教科を終えてしまう中高一貫校が、これまで以上に有利になり、高校の序列化が一層進みかねない。バカロレアのような記述式試験を55万人もの受験生に課するとなると、採点者により得点に差が生じる懸念が拭えない。コンピュータで採点できる現在のセンター試験もどきでは、思考力や表現力を測りかねる。では、大学別に論文や面接をとなると、従来型入試の作題・採点以上に教員の負担は増す。またまた大学は、思わざる難問を移り気な国から突きつけられたことになる。