1. 経緯

 平成12年1月に教育研究評議会において、滋賀大学の理念「知の21世紀をきり拓く-滋賀大学の理念-」が了承された。この理念に対し平成12年6月の外部評価委員会及び運営諮問会議において、「理念に個性がない、具体性に乏しい」との指摘があったが、理念の実現に向けた具体的な取り組みの中で滋賀大学の個性化を目指すこととなった。
 その後、平成16年4月の国立大学の法人化を経て、大学を取り巻く環境は大きく変わった。それらに対して能動的に関わっていくためにも、また改正された教育基本法(平成18年)や教育振興基本計画(平成20年)、さらには中期目標・中期計画等に対応していくためにも、滋賀大学の理念を改めて明らかにし、目指すものを明確にすべきとの考えに至った。
 平成20年5月、滋賀大学将来構想検討委員会が設置された。この委員会の下に設けられた学生代表を含む理念・憲章検討ワーキンググループにおいて審議が行われ、滋賀大学の理念と行動指針の素案がまとめられた。将来構想検討委員会では、提出された素案についてさらに検討を加え、理念と行動指針を一体化して滋賀大学憲章とすることとし、平成21年8月末、教育研究評議会の了承を得、9月1日の役員会において最終的に決定した。

2. 構成

 大学憲章とは、大学が目指す大学像を内外に明らかにし、自らを律すると共に、社会に対する大学の存在意義、社会的責任を明示するものである。従って、滋賀大学のよって立つ理念、それを具体化するための目標、さらに本学の構成員が心をひとつにして守るべき行動指針について、有機的一体のものとして提示すべきとの考えから、滋賀大学憲章とした。

3. 前文

 滋賀大学の伝統に触れ、また平成12年に策定した理念を標榜する合言葉である3C(創造Creation、協同Cooperation、貢献Contribution)を明示し、基本理念との関連が分かるように工夫した。さらに、国立大学法人化をはじめ、本学を取り巻く環境の変化について述べ、新たに憲章を策定する必要性と意義について説明した。

4. 基本理念

 専門性の高い職業人教育と創造的な学術研究の充実は、全ての大学に共通する基本的かつ普遍的な事項であり機能であるが、それらへの着実な取り組みを通じて、人類と社会の持続可能な発展に貢献するという滋賀大学の基本姿勢をまず明確にした。
 その上で3Cスピリットを受け継ぎ、さらに具体的に展開することとし、以下の3つのスローガンを掲げることとした。

 (1)「先進的な教育研究(Innovative Educational and Research Activities)」は、知識基盤社会におけるイノベイティブな教育研究活動の重要性を強調すると共に、リスクや環境等といった滋賀大学独自の重点目標に積極的に取り組むことを明示している。このスローガンは3Cにおける創造Creationのさらなる展開として位置付けている。

 (2)「国際的連携の推進(Promotion of Global Equal Partnerships)」は、グローバルな世界の広がりの一方で、一国の身勝手な行動が多くの地域や他国民の生活を脅かすことも明らかになっている。こうした相互依存の時代において、互助互恵の精神に立って、よりよい社会の実現や国際連携の発展に努力できる人材の育成が必要であると考えた。このスローガンは3Cにおける協同Cooperationのさらなる展開として位置付けている。

 (3)「市民的公共心(Civil-Public Sphere)」は、市民を単に公共サービスの受益者と見なすだけではなく、 NPO/NGO等が活躍する中間領域の重要性を理解し、市民の参加・協同と結びついた公共心の育成により、より活力のある分権型市民社会の発展に貢献することを目指そうとするものである。このスローガンはナショナルセンターとしての国立大学法人の社会的貢献をも含み、3Cにおける貢献Contributionのさらなる展開として位置付けている。

 基本理念の最後に、「琵琶湖世界 BIWAKO Cosmos」という言葉を掲げた。これは滋賀大学憲章の副題にある「湖国」の概念を一層膨らませたものであるが、その意味するところは琵琶湖を含む近江地域の風土、歴史、伝統、自然と、そこに居住し琵琶湖と関わりつつ生活をする人々の営みの総体を表す言葉である。琵琶湖世界は、人間と自然の関わりを含む世界の縮図であり、それを理解することは世界を理解することである。滋賀大学は琵琶湖世界をそのような存在として理解し、関わりを持っていくということを強調した。

5. 目標

 基本理念の趣旨に則り、3つの大きな目標を立てた。一つは教育であり、一つは研究であり、他の一つは社会貢献である。
 教育の目標については、「学生の主体性」という用語を加え、学生に分かりやすい教育を目指すことの大切さを強調した。また、基本理念に沿って、滋賀県や琵琶湖についての特色ある教育に取り組む点を強調した。
 研究の目標については、基礎研究と応用研究、理論研究と実践的研究のバランスある研究の推進とともに、基本理念に沿って、イノベイティブな学問分野の開拓に積極的に取り組むことを強調した。
 社会貢献の目標については、知的成果の還元を基本とし、可能な限り地域と連携するとともに、基本理念に掲げた市民的公共心をもって地域社会に貢献する姿勢を明確にした。
 以上の目標を達成するために、国立大学法人化を踏まえ、大学運営の自律性や経営の透明性の確保に対する滋賀大学の姿勢を明確にした。

6. 行動指針

 滋賀大学の構成員は、それぞれの立場を超えて理念・目標の実現に関わるということから、全構成員を一丸のものとして構想し、行動指針を8つにまとめた。それぞれについては概ね、個人的に守るべきものから組織として守るべきものへ、大学固有のものから社会共通のものへ、と構想した。文体については自らを律する行動指針とするため、あえて敬体を用いた表現とした。

文責:滋賀大学将来構想検討委員会
理念・憲章検討ワーキンググループ
座長 理事(教育・学術担当)
近藤 學