本館所蔵のマンデヴィル『蜂の寓話 私悪は公益』に関する貴重書を展示していますので、ぜひご覧下さい。
今回は、スミスの『道徳感情論』も同時に展示しています。
貴重書展示コーナーは図書館1Fカウンター前に設けています。


マンデヴィル『蜂の寓話 私悪は公益』(1740)

スミス『道徳感情論』(1798)

本図書館所蔵の経済学の古典(16)

マンデヴィル『蜂の寓話 私悪は公益』(仏語版初版1740)

  17世紀のオランダに生まれ、後にイギリスに移住した開業医マンデヴィル(Bernard de Mandeville, 1670-1733)は、1705年ロンドンで『蜂の寓話』を発表した。それは、最初匿名で出版されたが、瞬く間に人気を博し、多くの版を重ねた。本書の副題は、当初「悪漢化して正直ものとなる」であったが、1714年以降は「私悪は公益」となった。マンデヴィルは、個人のレベルでは悪徳とされるものが結果として社会的な利益に結びつくことを主張し、当時のイギリス社会を風刺したのであるが、これがセンセーションを引き起こし、一時は危険思想ともみなされた。本書は、18世紀のイギリスだけでなくヨーロッパの多くの思想家たちに影響を与え、フランスではモンテスキューやヴォルテールなどが刺激を受け、活発な論争が繰り広げられた。
 ぜいたくを追い求める人々の欲望が労働需要を生み出し、社会的な効用を生み出すというマンデヴィルの示したパラドックスは、利己的な個人の経済活動に基づく自由主義経済を、先駆的に表現したものとして現代では評価されている。利己心が意図せざる結果として公益に結びつくことを主張した、スミスの「見えざる手」への影響を強調する解釈もある。ただし、スミス自身は『道徳感情論』の中で、悪徳と徳の区別を問題にしないマンデヴィルの主張を「危険な傾向をもつ」ものとして批判している。
 今回は、スミスの『道徳感情論』の仏語版初版(1798)も同時に展示する。
 

(1)【Mandeville, Bernard de】La Fable des Abeilles, ou les fripons devenus honnettes gens. Traduit de l’anglois sur la sixieme edition. Tome 1-4. Londres, aux depens de la Compagnie, 1740.
(2)Smith, Adam. Théorie des sentiments moraux, ou, Essai analytique sur les principes des jugemens que portent naturellement les hommes, d’abord sur les actions des autres, et ensuite sur leurs propres actions: suivi d’une dissertation sur l’origine des langues par Adam Smith ; traduit de l’anglais sur la septième et dernière édition, par S. Grouchy Ve Condorcet. Elle y a joint huit lettres sur la sympathie . Paris : Chez F. Buisson, 1798

(解説:経済学部教授 御崎加代子)