本館所蔵のウィリアム・ペティの主著『政治算術』 (1755年版)とハル編纂の『ペティ著作集』(1899)に関する貴重書を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館1Fカウンター前に設けています。

展示コーナー

『ペティ著作集』(1899)

本図書館所蔵の経済学の古典(15)

統計学の先駆者 ウィリアム・ペティ

 7世紀にイングランドで生まれた、ウィリアム・ペティ(Sir William Petty, 1623- 1687)の主著『政治算術』(1690)は、経済統計学の起源としてみなされている。
 ペティは少年時代に商船の水夫になったが、その後オランダで医学を学び、解剖学を専攻した。クロムウェルによってアイルランド派遣軍の軍医監に任命された際(1652-58)、土地測量家としても活躍することになった。その後ロンドンに戻ったペティは、王立協会の創立にもかかわり、実証的な新しい科学分野として「政治算術」を生み出したとされている。
 ペティによれば「政治算術」とは、国家のあり方を数量と重量と尺度によって可能な限りに数量化して表現する試みである。調査記録をもとに、客観的な数値を把握し、それを時系列にそった表にして、議論の根拠とする近代に特有な方法が、ペティとともに始まったのである。
 ペティは「政治算術」を「政治的解剖」とも呼んだが、それが目指したのは、国家の力の測定であった。当時のイギリスの国力が、ライバル国オランダやフランスに比して決して劣ることはないということを示すことが大きなねらいであった。
 本図書館は、『政治算術』(1755年版)とハル編纂のペティ著作集(1899)を所蔵している。  

(1)Several Essays in Political Arithmetick by Sir William Petty and Fellow of the Royal Society, 4th ed. London : Printed for D. Browne [etc.], 1755
(2)The economic writings of Sir William Petty : together with the Observations upon the bills of mortality, more probably by Captain John Graunt, edited by Charles Henry Hull, Cambridge University Press, 1899, v. 1 v. 2

(解説:経済学部教授 御崎加代子)