本館所蔵の「マルサスの『経済学原理』」と「ケインズの『一般理論』」に関する貴重書を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館1Fカウンター前に設けています。

展示コーナー

ケインズ『一般理論』の初版(1936年)

本図書館所蔵の経済学の古典(14)

マルサス『経済学原理』とケインズ『一般理論』

 マルサス(Thomas Robert Malthus, 1766-1834)は、何よりも『人口論』(1798)の著者として有名であるが、経済理論を論じた著作『経済学原理』(初版1820)が経済学の歴史に与えた影響も大きい。
 本書のテーマのひとつは、ナポレオン戦争のあとの大不況の原因を解明することであった。マルサスは、供給能力を高めても必ずしも需要は高まらないことを主張し、同時代の経済学者リカードやセーに対抗して、当時としては珍しいディマンド・サイドの経済理論を展開した。マルサスによれば、大不況への対処法は、有効需要を高めることであり、具体的な政策として、地主階級の消費支出を高めるための大土地所有の分割、国内外の通商の拡大、公共事業などが提案された。
 のちにケインズは、1936年『雇用・利子および貨幣の一般理論』において、有効需要理論を確立し、それまでの経済学の常識を覆した。そのときに「供給はそれ自らの需要をうみだす」という考え方(セー法則)を信奉するケインズ以前のほとんどすべての経済学者たちを「古典派」と一括して、厳しく批判したが、マルサスは例外で、自らの理論の先駆者として評価した。
 本図書館は、マルサスの『経済学原理』の第2版(1836年)とケインズの『一般理論』の初版(1936年)を所蔵している。

(1)Malthus, Thomas Robert, Principles of Political Economy Considered with a View to their Practical Application, second edition with considerable additions from the author’s own manuscript and an original memoir, London: William Pickering, 1836

(2)Keynes, John Maynard, The General Theory of Employment, Interest and Money, London: Macmillan, 1936.

(解説:経済学部教授 御崎加代子)