本館所蔵の貴重書、ジョン・ロック『著作集』を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館1Fカウンター前に設けています。

本図書館所蔵の経済学の古典(9)

黎明期の経済思想-ジョン・ロック(1632-1704)『著作集』第6版(1759)

 アダム・スミス『国富論』が1776年に出版され、体系的な経済学が誕生する以前にも、多くの経済学的な論考が存在する。ジョン・ロック(John Locke)は、近代民主主義の礎を築いた政治思想家として、あるいは経験論の哲学者として有名であるが、経済思想においても重要な業績を残している。
 ロックは『統治二論( Two Treatises of Government )』(1690) において、所有権の発生を労働によって説明したが、それは、物の価値は労働によって決定されるという労働価値論の先駆とみなされるようになった。一方、経済政策に関する提言も活発に行い、『利子・貨幣論(Some Considerations of the Consequences of the Raising of the Value of Money)』(1692) においては、当時の法定利子率利下げ案に反対して、利子の決定を貨幣の需給関係にまかせておくことを主張した。貿易差額による貨幣の獲得を国富の源泉とみなす重商主義の考え方をふまえつつ、貨幣を生産物の交換手段とみなして必要貨幣量の算定を行うなど貨幣数量説的な発想も持ち合わせている点が、ロックの経済思想の特徴と考えられている。
 ロックの死後10年たって、その著作集の出版が始まった。著作集は、実に1824年の第12版(全9巻)まで版を重ねた。本図書館は、1759年に公刊された第6版(全3巻)を所蔵している。

The works of John Locke, Esq; In three volumes. The sixth edition. To which is added, The life of the author; and A collection of several of his pieces publisted by Mr. Desmaizeaux. … London: printed for D. Browne, C. Hitch and L. Hawes, J. Shuckburgh, A. Millar, J. Beecroft, John Rivington, James Rivington and J. Fletcher, J. Ward, R Baldwin, J. Richardson, S Crowder, P. Davey and B. Law, T. Longman, E. Dilly, R. Withy, T. Payne, and M. Cooper. M.DCC.LIX [1759]. 3 vols.

(解説:経済学部教授 御崎加代子)