本館所蔵の貴重書ギヨーマン&コックラン編『経済学辞典』と、ワルラス『応用経済学研究』を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館1Fカウンター前に設けています。

展示コーナー

御崎先生による解説

ギヨーマン&コックラン編『経済学辞典』

ワルラス『応用経済学研究』

本図書館所蔵の経済学の古典(7)

「競争」とは何か -
ギヨーマン&コックラン編『経済学辞典』(1852-53)と ワルラス『応用経済学研究』(1898)

 現代経済理論の基礎を築いたレオン・ワルラス(1834-1910)は、 主著『純粋経済学要論』(初版1874-77)の中で「絶対的自由競争」の概念を確立し、これが現代の経済学における「完全競争」概念の起源のひとつになった。
 自由競争を支持することと、小さな政府を主張することは、しばしば同一視されるが、ワルラスの場合は、決してそうではない。ワルラスは、著書『応用経済学研究』(1898)において、自由競争を適用すべき分野と適用すべきでない分野の区別、貨幣制度、労働市場、鉄道事業などへの国家の介入、望ましい独占の在り方などを論じている。
 そもそもワルラスは母国フランスの経済学界を支配していた自由主義経済学派とは、青年時代より激しく対立していた。ギヨーマンとコックランによって編纂され、1852-53年に出版された『経済学辞典』は、当時、正統派と呼ばれた自由主義経済学者たちの影響力を示すものであるが、ワルラスは、この辞典の中の「競争 (Concurrence)」という項目の内容について、後に激しく批判をし、自らの経済学が自由放任を主張するためのものでは決してないことを強調した。
本図書館は、ワルラス『応用経済学研究』(1898)初版と、ギヨーマン&コックラン編『経済学辞典』(1852-53)初版を所蔵している。

COQUELIN, Charles, “Concurrence”, in C. Coquelin et G.-U. Guillaumin, Dictionnaire de l’économie politique, Paris : Guillaumin, tome 1, pp. 448-455.
WALRAS, Léon, Études d’économie politique appliquée : (théorie de la production de la richesse sociale), Lausanne : F. Rouge , 1898

(解説:経済学部教授 御崎加代子)