本館所蔵の貴重書マーシャル『経済学原理』と、ケインズ『一般理論』を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館1Fカウンター前に設けています。

展示コーナー

御崎先生による解説

マーシャル『経済学原理』

ケインズ『一般理論』

本図書館所蔵の経済学の古典(6)

ケンブリッジ学派の経済学
マーシャル『経済学原理』とケインズ『一般理論』

 マーシャル(Alfredo Marshall, 1842-1924)とケインズ(John Maynard Keynes, 1883-1946)は、ともにイギリスのケンブリッジ学派に属し、現代経済学の基礎を築いた経済学者である。
 マーシャルは、リカードを頂点とするイギリス古典派経済学を刷新し、新古典派経済学とケンブリッジ学派の創設者となった。主著『経済学原理』(初版1890年)は、1920年の第8版まで版を重ね、彼が教授を務めていたケンブリッジ大学は、世界の経済学の中心となった。彼の経済学は、限界・均衡分析による価格分析にその特徴があり、現代のミクロ経済学の出発点を築いたと言えるが、彼自身はメカニカルな分析に終始したのではなく、経済学者の任務が「冷静な頭脳と温かい心(Cool head but warm heart)」をもって貧困問題を克服することにあると考えていたのである。
 ケインズは、1936年『雇用・利子および貨幣の一般理論』を出版し、ケインズ革命をもたらした。彼はここで、マーシャルの経済学が完全雇用を前提としていることを明らかにし、失業問題になんら解決策を示すことができないことを批判した。ケインズは、マーシャルの経済学にとってかわるものとして、有効需要理論を確立し、それまでの経済学の常識であった、自由放任や均衡財政主義を批判した。ケインズ革命によって、登場したマクロ経済学は、経済学の歴史を大きく変え、その後の経済政策の在り方を決定づけることになった。
 本図書館は、マーシャルの『経済学原理』の第5版(1907年)とケインズの『一般理論』の初版(1936年)を所蔵している。

Marshall, Alfred. Principles of Economics, 5th ed., London: Macmillan, 1907.
Keynes, John Maynard, The General Theory of Employment, Interest and Money, London: Macmillan, 1936.

(解説:経済学部教授 御崎加代子)