本館所蔵の貴重書チャイルド『新交易論』と、ボワギルベール『フランス詳論』を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館1Fカウンター向かいに設けています。

展示コーナー

御崎先生による解説

チャイルド『新交易論』

ボワギルベール『フランス詳論』

本図書館所蔵の経済学の古典(5)

重商主義をめぐって‐チャイルド『新交易論』とボワギルベール『フランス詳論』

 16世紀から17世紀にかけて、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国では、「重商主義」に基づく政策がとられた。重商主義とは、貨幣的な富を重視し、貿易差額の獲得を目標として、輸出産業の保護や強い海軍力をめざす政策体系である。重商主義は、アダム・スミスの『国富論』(1776)の刊行や産業革命の進行によって、やがて解消される。
 イギリス人のチャイルド(Josiah Child, 1630-1699)は貿易商人で、イギリス東インド会社の総裁などとして活躍した。彼は重商主義の理論家のひとりで、低利子率こそ富の繁栄の原因であるという主張がとくに有名である。彼の主著『新交易論(A New Discours of Trade)』(初版1693年)は、たびたび論争を招いた、この彼の利子論が再構成されたものである。
 フランス人のボワギルベール(Pierre Le Pesant Boisguilbert, 1646-1714)は、フランスの経済学者で、1695年に主著『フランス詳論 (Le Détail de la France) 』を匿名で出版した。彼はこの中で、ルイ14世紀治下のフランス農村経済がいかに荒廃しているかを詳細に記述し、その原因としてコルベール主義 (重商主義)を厳しく批判した。ボワギルベールはそれに、租税改革案などを付け加えて、1707年に著作集『フランス詳論』を出版したが、コルベール主義をあまりにも激しく批判したため、追放処分となった。
 本図書館は、チャイルドの『新交易論』の第4版(1740年)とボワギルベールの著作集『フランス詳論』の初版(1707年)を所蔵している。

Child, Josiah, A New Discours of Trade, the fourth edition, London: Printed for J.Hodges, 1740?
Boiguibert, Pierre le Peasant, Le Détail de la France, sous le règne present, Première partie-Second partie, 1707.

(解説:経済学部教授 御崎加代子)