本館所蔵の貴重書ミラボー『租税論』と、オンケン編『ケネー経済学哲学著作集』を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館2F第2閲覧室入口手前に設けています。

展示コーナー

御崎先生による解説

ミラボー『租税論』

オンケン編『ケネー経済学哲学著作集』

本図書館所蔵の経済学の古典(4)

フィジオクラートとフランス財政危機‐ミラボー『租税論』(1760)と
オンケン編『ケネー経済学哲学著作集』(1888)

 フィジオクラートとは、フランス革命直前、「フィジオクラシィ」(Physiocratie)と呼ばれる経済・政治理論体系をかかげ、当時危機的な状況にあったフランス財政の再建を目指した経済学者たちのことを指す。その中心的人物であるフランソワ・ケネー(François Quesnay, 1694-1774)は、「経済表」とよばれる人類史上初の経済モデルを生み出したことにより、経済科学の創設者ともみなされている。
 ミラボー(Mirabeau, V. R.,le marquis de, 1715-1789)は、ケネーの最初の弟子であり、ケネー学説の普及に力をつくした人物である。ミラボーが著した『租税の理論』(1760)は、学派の最初の体系的書物とされており、その後フィジオクラートたちの中心的な主張となる「土地単一税」の構想を含んでいる。これは、当時の複雑で非効率な税制をすべて廃止し、土地のみに課税するという考え方である。ミラボーは、本書を国王に献上し、国家を財政危機から救おうとしたのであるが、逆にそのせいで投獄されてしまうのである。
 フィジオクラートたちの奮闘にもかかわらず、結局、フランスは財政の立て直しに失敗し、革命への道をたどる。その約100年後に公刊されたオンケン編のケネー著作集は、彼らの経済学の再評価に大きな影響力を及ぼした。

Mirabeau, V. R.,le marquis de, Théorie de l’impôt, Paris, 1760.
Oncken, A. (ed.) Œuvres Economiques et Philosophiques de F. Quesnay, Fondateurs du Système Physiocratique, accompagnées des éloges et d’autres travaux biographique sur Quesnay par Différents Auteurs, Francfort : Joseph Baer & CIE , Paris : Jules Peelman & CIE, 1888.

(解説:経済学部教授 御崎加代子)