本館所蔵の貴重書『コンディヤック著作集』を展示していますので、ぜひご覧下さい。
貴重書展示コーナーは図書館2F第2閲覧室入口手前に設けています。

本館所蔵の経済学の古典(2)

『コンディヤック著作集』 (1798)

 コンディヤック(Etienne Bonnot de Condillac, 1714-80)は、フランスのグルノーブル出身の哲学者であるが、経済学者としても大きな貢献を残した。彼は、ロックの認識論を受け継ぎ、人間の知識の源泉は感覚にあるとして、感覚論哲学を構想したことで有名である。人間の行動を導く原因は、快楽を求め、苦痛を避けようとする人間の欲求であるという、功利主義的な人間観を持っていたコンディヤックは、経済学の分野では、効用価値論を提唱し、独自の経済学を展開した。そして、農業生産物のみを真の富とみなす、フィジオクラート(重農学派)と、激しい論争を繰り広げたのである。
 本著作集は、彼の死後である1798年に出版されたものであり、23巻からなる。多くの作品が哲学や歴史についてのものであるが、第4巻におさめられている『商業と統治』(初版1776)は、経済学の著作であり、奇しくもアダム・スミス『国富論』と同じ年に、公刊された作品である。
 コンディヤックは効用価値論という主観的なアプローチを、経済学にもたらしたことにより、現代経済学の先駆者のひとりとしても評価され、シュンペーターの『経済分析の歴史』(1954)においては、ワルラスの一般均衡理論をうみだした「フランスの伝統」の系譜に属する経済学者と位置づけられている。

Œuvres de Condillac / revues, corrigées par l’auteur, imprimées surses manuscrits autographes, et augmentées de La langue des calculs, ouvrage posthume. Paris:De l’imprimerie de Ch. Houel, 1798, 23vols.

(解説:経済学部教授 御崎加代子)